史記 武帝紀 7 北方謙造
史記武帝紀の最終巻です。これが史記の最終巻なのか、その中での武帝紀のみの最終巻なのかわかりませんが、良い最終巻でした。
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ブログを作ってからは5巻、6巻の感想を載せたことがありますが、正直に言ってあまり面白い巻ではありませんでした。1巻から衛青、霍去病らが活躍した時代が過ぎて武帝は老い、漢は斜陽の時で、その中での人間として司馬遷、李陵、蘇武らがいました。彼らも一角の人物でしたが、衛青、霍去病の時代の躍動感が失われていて、別の小説のようだったのが残念でした。

7巻は最終巻なので登場人物の多くが死、あるいは死を意識した姿を見せてくれます。
そしてそういう男の姿を書かせれば北方先生の筆はお見事です。

敗北を契機に人として、若いころのような判断力を見せ、見事に死んだ武帝。武帝の臣下としてその生を最後まで武帝に尽くす桑弘洋。そしてその姿をを胸に刻む次代の主役、霍光。
匈奴では子が育ち、孫が育つ姿を見る頭屠には匈奴の未来を感じました。共に北の冬の世界に生を実感したというのに離れざるを得ない蘇武と李陵の別れの姿があります。

多くの死、別れ、未来が書かれていて、胸を打つ内容になっています。4巻以降あまり楽しめなかった自分ですが、大変満足できました。


読後、久々に史記武帝紀を一巻から読み直しています。この頃はこの頃でやはりとても面白いです。