砂の栄冠 三田紀房
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今まで連載してたのは知ってたけど、特に読む気がなくスルーしてましたが、グラゼニ6巻に入ってた広告に興味を持ったんで読んでみました。
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ヤングマガジンはイニシャルDをサラッと、カイジはもっとサラッと、空手小公子をしっかりと読んでたくらいで他は飛ばしまくってた。
で、読んでみたら面白かった。作者の他の作品の売れてた「ドラゴン桜」とかも読んでないけど、今度読んでみようかな。

それなりに強い公立高校野球部の七嶋。新チームのキャプテンになったが、甲子園に行ける気がしない。しかし、長年高校を応援してきたお爺さんより1千万円を託されたことにより意識が変わり、勝てるチーム作りを目指していくという内容。
広告には黒いキャプテン、黒いチームメイト、黒いマネージャー、黒い母親など、甲子園を目指す人々が見せる表情を「黒い」という表現してますが、そんなに黒くはないなと思う。
特にキャプテン七嶋は、理想のキャプテンを演じてチームを導いてチームを甲子園に導こうとしてますし、お金の使い道も「優秀なノッカーの給料」「チーム全員のグラブ代」「チームの追加の食事代」などチームのためばかり。理想のキャプテンを演じて、チームメイトにも人々に好かれるよう、溌剌とした高校球児として振舞うようにさせますが、むしろ立派じゃないかな。
いいたいことを言わず、人々に理想の姿を見せてよい環境を作る。そしてそれらの目標も甲子園に行きたいと言う素直な夢で、1千万を寄付したお爺さんの意気を感じた部分が大きいし、お金のためとか将来のためとか利己的な考えがない・・・。
目標のために理想を演じて、人々を引っ張っていくキャプテン。七嶋、政治家になったら理想的に思えるな。

というわけで、人間のどす黒さとか、欲得まみれの姿が出てくるかと思ったらそういうのはあまり出てきませんです。あ、監督のガーソだけは自分勝手で救いようのないダメ監督として出てきてますが。

野球としてはかなり七嶋無双の内容。軟式出身のため、強豪校にいかず公立高校に行った七嶋がピッチャーで抑えて、4番として打って勝つという展開が基本。それでも高校生らしく失敗したり、チームメイトも成長して七嶋を盛り立てるあたり、面白い野球漫画でした。


問題は春の選抜の21世紀枠とはいえ、8巻時点ですでに甲子園に行っている点・・・。せっかく面白いと思ったのに、早々に終わってしまわないか不安。
8月には単行本9巻がでるので楽しみです。