先日買った烙印の紋章です。なんだかんだで遅れてしまいましたが、ようやく読了しました。
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 前巻から緊迫の展開が続いてますが、この巻も面白かったです。

 この巻では、サブタイトルにある「雌伏」というのとは少し違うと思いますが、主人公オルバは敵と対峙し、終盤まで状況が動くのを待つ姿勢をとっているので、周りのキャラたちの動きが主になっています。ゼノン王子、エリック公子らの成長やパーシルのオルバとの関わりなど、変わっていく姿がよかったです。
 これまでの展開は、三大国と西方にタウーリアだけだったのですが、さらに海の向こうの東方の大国アリオスがかかわってくるようで、ややこしいことこの上なくなってきます。3大国はそれぞれオルバの世代が力を付けてきており、彼らが協力し、アリオスに対抗するのではないかと思われるのですが、そんな想像を裏切る展開もまた読んでみたい。現状アリオスは強大な侵略国家としてしか現れてませんが、これでこの国まで深く掘り下げられたら、展開がさっぱりわからなくなりそうです。
 
 若手の台頭もよかったのですが、皇帝グールと忠臣シモンの関係も良かった。反乱者の妻子の処刑に対しておおやけに、シモンがただ諫死するだけなら、驚くことはないのですが、あくまで皇帝にだけわかるような形で死をかけて訴えるのが深い。冒頭から二人の若き時の姿が書かれているだけに印象的でした。また、それを受けたグールもただ頑迷な、力を求めるだけの男なら敵役として分かりやすかったのですが、それだけでないことが、この話を面白くさせてくれます。

 前巻から不穏な空気を出していたサラマンドが退場したところで、次の巻ではグールとの決戦でしょうか。大きなところではアリオスとの対決、竜神教の始末があると思うので順に片付けるとすればそろそろでしょう。ただ、この巻でも各地で話が進行して、それがそれぞれに影響を与えあっているように、「順に」片付けられない展開がこれからもあるでしょうし、どうなるのかまだまだ分からないですね。

 まだまだ波乱の展開が予想されますので、早く次の巻が待ち遠しいです。